保護者面談で最も多かった悩み、「うちの子が家で勉強しない。」の話
11月から12月にかけて、多くの保護者の皆様と塾にて面談させていただきました。
ご足労頂いた皆様に、この場を借りて御礼申し上げます。
今回はその場にて、多くの方にご相談いただいたお悩みを、解決!とまでいかないにしても、少し心が落ち着くようなお話ができたらと思います。
今回伺った中で、最も多かった悩みは、「うちの子が家で勉強しない。」といったような悩みだったと思います。
コロナ禍で在宅時間が増えたことにより、この問題がさらに顕在化した部分も大きいのではないでしょうか。
私が考えるこの問題に対しての答えは、こちらの3つ。
① どれだけやるかを本人に決めさせる。
② ハードルはビックリするくらい小さくする。
③ ご家庭で目的、目標を共有し、チームプレイで勉強する。
①番から解説します。
まず大前提として、やる内容や量は中学生の場合(小学校高学年でも)、本人に決めさせるべきだと思います。
人間には、根源的な欲求として、「自律性」があります。人は、自ら主体的に行動し、自ら選択したがるという性質です。
自律性は我々が思っている以上に、本人のやる気や幸福感と密接に関わっております。
この自律性を奪われれば(大人でもそうですが)、勉強がやらされるだけの苦行に変わってしまいます。
しかしながら、本人に自分でやることを決めさせると、こんな事態に遭遇することも考えられますね。
おい!めっちゃ簡単な課題しかやらねーじゃんかよーーー!!!
お母さんの怒る声が今にも聞こえてきそう...
「そんなんで勉強やるって言えんのかよ!!」とツッコミたくなる気持ちを抑えて、そんな子には、こんな対案があります。
イェール大学の実験で、選択の“感覚”を与えるだけで自律性の欲求が満たされ、大きな成果に結びついたという実験があります(ソースはこの本)。
つまり、勉強そのものを本人が決めなくても、
「何をやるか」「いつやるか」「どれくらいやるか」
を選択してもらえばよいということです。
自分で決めたように思わせる“演出”ではありますが、それらを本人に選んでもらうだけでも、やらされる抵抗感は一気に小さくなるはずです。
続きまして、②番目。
ハードルをビックリするくらい小さくするというテクニック。
「毎日●●時間勉強する!」と啖呵を切ったものの、3日で挫折…そんな経験された方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?
その失敗のほとんどは、実現性の低い“●●時間”に起因するもの。
自信は成功体験からしか生まれません。ハードルはビックリするくらい下げましょう。
最初は1時間でもダメです!
30分、なんなら15分でもいいくらい!(勉強を“時間”で区切ることの是非はとりあえず置いておいて)
それと、終わったら自由な時間をつくるのも大事だと思います。
「早く終わったから次の課題を増やす。」はやる気の減退を招く可能性があるので、慎重に。
あくまでもちょっとずつ、ちょっとずつ、長く走れるよう、勉強を進めていきましょう。
最後に、③番です。
受験学年は特に、ご家庭での目的、目標の共有が大事になってくるかと思います。
ご家族の協力なしに、受験を乗り切ることは非常に難しい。
以前特に優秀だった生徒さんのお母さんとお話したときのこと。
その生徒のお母さんは、入試の問題をお子さんと一緒に自らも解いていて、そこでの気づきをアドバイスしていると仰っておりました。
さすがにそれには私自身も驚愕しました。
まぁ、そこまでしなくても、例えば、
・お子さんの勉強に興味を持つ
・日常の会話の中に(嫌がられない程度に)クイズを盛り込む
・リビングでお子さんが勉強している時間に、親も読書する習慣を作る
など、このような手本となる行動に関しては、率先してお家の方が見せることで、何かと感化される部分が、子どもながらにあると思います。
また、リビングで勉強すると、“他者目線”がありますので、スマホいじったり、だらけたりすることができないというメリットもありますね。
思春期には難しい面もあるかもしれませんが、取り入れられる範囲で、ご家族でのチームプレイをされてみてはいかがでしょう。
おすすめです。
最後に、子どもの成長を他者と比べる必要はありません。
数ヶ月前よりもだらけるようになった。
ーーーでは、一年前と比べたらどうでしょう?
●●君、▲▲ちゃんはあんなにできるのに...
ーーー本人が頑張っていても負けてしまうことはあります。
常に、過去のお子さんとの比較の中で、できるようになった部分をほめるようにしてください。
きっと、長期スパンで見れば、我が子の成長の芽がたくさんあるはずです。
それを見逃さないように。素早く伝えてください。
以上の三つで、すべての子が同じように問題解決するとは思っておりませんが、家で勉強しない問題に対する、私からのご提案とさせていただきます。
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